2nd Mini Album 『幻聴と幻想の現象』 


幻聴と幻想の現象
2nd Album 『幻聴と幻想の現象』
[収録曲]
1. 幻聴と幻想の現象
2. 誕生前夜
3. 若気の光
4. シェイクスピアのダイアリー
5. 虹の彼方
6. 飛行少女
7. トゥルルル

発売日:2010.5.12
型 番: PRKL-1006
定 価: ¥1,800(税込)
発売元:グララーガ

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DISC REVIEW

 UKギター・ロックの影響を感じさせるサウンド、幻想的なイメージとリアルな感情を同時に感じさせてくれる歌を軸にした4ピース・バンドのセカンド・アルバム。メロディアスなギター・フレーズと切なくもダイナミックなメロディ、寓話的イマジネーションを含むリリックがひとつになった表題曲がとにかく素晴らしい。

(CDジャーナル)


  空高く澄み渡るVo./G.松木智恵子の声が、UKロックに根ざした叙情的なサウンドと重なり合って描き出すドリーミーで幻想的な音世界。少年のようにイノセントな響きを放つ松木の声と日本人の心の琴線に触れる美しいメロディは、一度聴いたら忘れられない強烈な中毒性をさらに増している。独特の言語感覚で描かれる歌詞は純度を高め、ノスタルジックなようでいて近未来的で不思議な世界観が聴く者を幻想の空へ舞い上がらせるかのよう。例えるならスピッツなどにも通じるような、普遍的な名曲の雰囲気すら今作では漂わせている。

  また、細部にまで至るこだわりをうかがわせるハイクオリティなサウンドは、インディーズの枠を超えたものだ。Suedeなどに通じる耽美的なギターロックサウンドに加えて、今作ではColdplayやEditorsなど海外でのNEW WAVEリバイバルの動きと呼応するようなサウンドアプローチも見せる。音の広がりと深みをより増しながら進化した楽曲はそれぞれにカラフルな個性と色彩を備え、いわゆる捨て曲など一切存在しない。7曲全てがシングルになってもおかしくないほどの、珠玉の楽曲集を彼らは作り上げた。

  昨年デビューしたばかりとは思えない、急速な速度と成熟度でピロカルピンは進化し続けている。日本語ロックへの愛情とUKロックの精神性を受け継いだサウンドはそれだけで既にオリジナリティを感じさせるが、彼らを他と一線を画した存在たらしめているのはその声と音が放つ空気だろう。今作では青みがかった空に突如現れたオーロラのような、この世にあらざるものがごとき怪しくも魅惑的な美しさを眼前に浮かび上がらせた。論理的な説明やありきたりの常識では計れない魅力が、彼らの音にはあるのだ。“本物”だけが持つ空気を漂わせる今作に、考えるより先にまず触れて欲しいと思う。

(TEXT: Michiya IMAI)

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